思い出の記
鎌倉に住んでいたころ、歩いていける近所に源氏山公園と云うところがあって、そこはとても素敵な場所だったから、暇さえあれば足をはこび、散策を楽しんだものだった。 おそらく源氏山は、全国的にも有名だと思うのだけれど、なにしろ桜の名所である。 ちょ…
以前の稿で”あんか”について少し触れたことがある。すなわち「”あんか”ね。なにげなく漢字変換しようとしたのだけれど、それらしいものは出ないじゃないか。試しにもう少し高度の辞書を用いてみれば、”行火”、はあ、そうなのね。ちなみに辞書の説明には、”木…
某音楽学校のコンサートホールにパイプオルガンがあって、娘からもらったプログラムによれば、その演奏が少しばかり聴ける旨だったから、喜び勇んで出かけた次第である。なにしろ地方の都市に住んでおれば、そのような機会など千年に一度あるかなしか。実を…
お風呂の掃除をしていたら、突然周囲の時空が激しく歪みはじめるのを感じた。気付いたらぼくは40年前の世界にトリップしていた。 とまあ、そんなSFもどきは半分冗談だけれど、こないだ、新手のお風呂用洗剤を買って、それを浴槽にチュッチュッと振りかけ…
(序) 銀盤上を舞う 2006年2月24日(金) 「オリンピックも結構やが、出るやつ出るやつ、みな負けよる」と宣うたのは将棋の升田幸三(実力制第4代名人・九段)だったが、これは昭和43年のA級順位戦、塚田九段との対局中(10月14日)にふともらした…
今話題の愛知万博へさっそく行ってみた。と云えれば中々格好も良いのだけれど、残念ながら当分はそうもいきそうにない。 冒頭で、”話題の”と書いたが、実を云うとぼくは、つい最近までこれが世間で大いに話題になっていることなどつゆ知らず、博覧会と云えば…
今になって考えれば昔は良く分からないことばかりやっておったなと。 「逢ひ見てののちの心にくらぶれば昔はものを思はざりけり」権中納言敦忠の詠んだのとは少し意味合いが違うようだけれども、やはり昔はぼくもまだ幼少だったから、あまりものを思ったりす…
子どものころ、しょっちゅう考えたり思ったりしていて、時には眠れなくなるほどにぼくのちっぽけな頭を悩ませたのは、いったい宇宙に果てはあるのかどうかと云うことだった。 なにしろ、現実の世界にはすべて行き着く終わりがあるはずなのに、こればかりはど…
たしか世界初のテレビ受信は1927年だったと記憶している。 では、オタクはじっさいそれを見たのかね? 真逆。 これは後年「テレビの父」と呼ばれ歴史にその名を残した高柳健次郎氏が行ったテレビジョン実験のこと。その時、受像機の画面に映し出されたの…
ベランダに置いた小椅子に座り煙草を吹かしながら雨に煙る夜空を眺めている。 とりとめもなく目をやる灰色の霧の向こう側に、地上から天に伸びるやや太めの白い光りの筋が現れ、それが一定の周期で地平線を軸にくるりと回転するのが見える。普段は気付かない…
さてと、今日はなんとなくの事情があって、仕事はお休みである。先ほどそのなんとなくの事情は片付いたから、ぼちぼちと書き物にでも取りかかって、それでそのあとは天気も良いことだし、ぶらりとお散歩でもしてみるかと。 かつてぼくが中学生だったころ、学…
かつて山住まいだったころは家の辺りすべてが勾配のために折角前任地から持ってきた自転車も用を成すことができず、いつのまにやら処分の憂き目にあった。 今度の任地は平地だから自転車も大丈夫。今は休日毎にきこきことあちらこちらを乗りまわす。当初1台…
お正月休みの合間に少し個人的な時間がひねり出せたから、久しぶりにかつて我が家だったところを訪ねてみることにした
今日27日は、火星が地球に大接近するらしく、その報道を聞き、地上の人々はすでに大パニックに陥っているらしいのだ。 とは云ってもぼくは、春ころから毎夜のように火星を監視しているから、大変に冷静なのである。おそらく今日や明日に空から火星が降って…
ずっと寒い日が続いていて、こんな時期は熱いお風呂がなりよりのご馳走である。 何のきっかけだったか突然に「五右衛門風呂」を思い出した。記憶はあまり定かでないが、我が家には結構長いあいだこの懐かしいお風呂が鎮座していたと思う。毎晩の風呂焚きに父…
どんよりした曇り空をぬってツバメが飛び交っている。餌を探しているのだろうが、その飛翔は実に巧みで上手い。じっと見とれているうちに突然スズメのことを思い出した。 これではあまりにも脈絡がないので順を追っていこう。 ぼくがまだ子どもだったころ住…